オーケストラ!
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- 出来の悪いフィクション
- 冗長でいて支離滅裂。
- 気取ったエスプリがうざい
- 男の未練がみっともない。
- 主人公の性格と動機が破綻。
- センスのないコメディ部分
目についた欠点を晒すだけならまだまだいくらでも出てきそう。老指揮者がバラバラになった昔のオーケストラを集めて最高の演奏をしよう、というのがメインテーマなはずで、それだけを丁寧に描けば十分に面白くなるはずだ。なのに風刺や揶揄を詰め込みすぎて肝心のメインがあまりにもおろそかになっている。
主人公である老指揮者は最初は単純に演奏がしたいという動機があったはずなのに、途中からは過去の清算に妄執し目的がすり替わっている。その様々なものに未練たっぷりな様子は正直言って醜悪だ。そんな目的どころか意志すらブレまくりの主人公のおかげでメインストーリーは終始ガタガタのブレっぱなし。そこにまたガチガチの共産党員や金もうけしか考えないユダヤ人、国家に縛られないロマの人々、国家崩壊後のロシア人など、多すぎる風刺的コメディストーリーを挟んでいる。しかもそれらコメディ部分のテンポや挿入のセンスが悪い。はっきり言って映画としては最低の部類に入るつまらなさだと思う。
何より音楽を映画で描くと言う一番肝心なところが外しきってるのが致命的。音楽に対して冒涜的なファンタジー映画とでもいうべきだろうか。流している音自体はいいのに描写が酷い。30年前解散したオーケストラが練習どころかリハもなしで一発本番で演奏………ぐらいはファンタジーとしてまだ許してもいい。しかし演奏本番数秒前にケースから楽器を取り出すトランペット奏者などという存在を直後に加えてくるというのはファンタジーにしてもやりすぎ。ワルノリがすぎて音楽を冒涜してるとしか思えない。
後主演女優の演奏の撮り方がドヘタ。運弓と運指を接写しすぎて音とあってないのがバレバレ。接写で写すにしてももうちょい撮り方ってものがあるだろうと思う。このあたりの描写の適当さからも音楽に対する敬意の欠如が感じられる。
音楽に一度でも真面目に取り組んだことがある人間にとって、この映画は駄作以外の何ものでもないと思う。
唯一良かった部分を挙げるとしたらジプシーのヴァイオリニストが奏でる音ぐらいだろうか。ただやけに巧いなと思ったら、それも当然で彼はタラフ・ドゥ・ハイドゥークスというれっきとしたプロのバンドのヴァイオリニストであった。ロマのバンドというのは未知の世界だったが、久しぶりにCDを買ってみようかと思う。
後同じ系統の映画なら
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