世界侵略 ロサンゼルス決戦

 この映画興行的に大失敗だったんだろうな…
 SFでありアクションでありパニックものでミリタリー。異星人が街を壊し、海兵隊が銃を撃ち、民間人が逃げ惑う。外す要素はほぼ無いにも関わらず、ここまでどっ外せるのはある意味で奇跡的。
 とにかく主人公の造型がどこの90年代の工場で作ったひな形だよってぐらいに古いステロタイプ。過去に暗い影を背負った生真面目で有能で熱い海兵隊魂を持ったニ等軍曹って……、これ本当に2011年の映画か?
 しかもその古すぎるステロタイプにこれでもかというぐらい他者からの投影性をぶっこむ。つまり彼はこの映画において父であり、兄であり、戦友であり、指揮官であり、頼れる下士官であり、そして時々ラブロマンスを演じる良い夫でもあるわけだ。重い荷物を背負わせるのも大概にしてやれよと言いたい。
 だいたいこの手の映画のエイリアンは構成上絶対強者であることが求められるはずなのだが、なぜか糞弱い。初っ端のタイマンでいきなりあっさり海兵隊員に負けるし、その後も部隊同士の戦いで海兵隊側は結構善戦できてしまう。何しろ単なる物理攻撃がガシガシ効いてしまうのだ。パニックモノに必要不可欠な圧倒的絶望感がまるでない。最終的に拳銃の弾で撃退できてしまうレベルにまでエイリアンは堕ちてしまう。君たち地球に何しに来たの?と問いたくなる。プレデターの爪の垢でも飲ませてやりたい。
 んで肝心の画面作りがどうかというとこれもまたお話にならないしょぼさ。たぶんドキュメンタリー的な手法を狙ったんだと思うが、終始手ぶれ感満載の画ばっかりで戦争映画としての臨場感がまるで感じられない。戦闘シーンのCGも残念としか言いようがない出来でお話にならない。正直手に汗を握るどころか、わずかな興奮を感じるシーンすら皆無だった。

 ちょっとひねったアメリカ軍万歳映画を作りたかったんだろうが、あまりにも低レベルな一品。これを見てアメリカ軍万歳を叫べる人間はさすがにアメリカにもいないと思うよ。