自転車と漫画とサスペンスと

サクリファイス 2 (ヤングチャンピオンコミックス)

サクリファイス 2 (ヤングチャンピオンコミックス)

 ヤンチャンでやってるロードレース漫画。原作は本屋大賞で「一瞬の風になれ」
に大差で負けた近藤文恵の同名小説。原作もとても面白い。シンプルな設定と、
シンプルな粗筋、サスペンスとスポーツという異なるジャンルをミックスさせて
るのに、無理なくどちらも楽しめる内容になっているのが凄い。(少なくとも
一瞬の風になれ」よりも数段面白いと思う。)

 ただ漫画はその上を行く完成度の高さ。もちろんストーリーが素晴らしいからこそ
なのだけれど、漫画の描写がそのストーリーをさらに高めてる。とにかく心理描写が秀逸。
基本的にマイナス面の感情描写が多い作品なんだけど、それらを表現する人物の表情を使った
心理描写やコマ割りを使った心理描写が実に巧み。引き込まれ具合が半端じゃない。
 
 残念ながらスポーツ漫画としては、あまり動きが少なく躍動感が伝わらない。
この作品にはそれが必要ないからいいのだけど。むしろもっとサスペンスに徹した
原作付きでやれば大当たりするかもしれない。

フープメン 1 (ジャンプコミックス)

フープメン 1 (ジャンプコミックス)

 ジャンプの打ち切り漫画にしては異様な完成度の高さ。初期のころのスラムダンクを現代風にアレンジした
といったところでしょうか。「黒子のバスケ」よりも明らかに面白いのに、なぜかこっちが打ち切り。
やはり完成度だけでは乗り切れないのか。