村山談話と売国政治家

 大正生まれの人間が背負ってきた人生観は重い。
 村山談話についての正当性を問う内容ではないので、タイトルからすれば評価のしようもない本だが、
 大正に漁村に生まれ、己の力と運を頼りに平成の世に総理になった人間の思想は、決して軽んじることのできない筋が通った重さがある。

 それにしても佐高は本当に近視眼的なごますり迎合主義者だな。村山談話の問題点を挙げもしないで、
 こんなタイトルで本を出すなんて人を馬鹿にしてるもほどがある。

日本を貶めた10人の売国政治家 (幻冬舎新書)

日本を貶めた10人の売国政治家 (幻冬舎新書)

 この国にまだ売れるようなものが残っていると信じる小林よしのりに同情する。
 感情的な批判本で銭をかせぐ姿勢には吐き気すら覚えるよ。

栄光なき凱旋 下 (文春文庫)

栄光なき凱旋 下 (文春文庫)

 中だるみと消化不良感は残るが真保裕一の畢生の大作といってしかるべき作品。
 序盤は100点、中盤は85点、終盤は65点。
 いかんせん話を広げすきたのと、登場人物の展開する思想や戦争観があまりにも似通ってるのがいただけない。
 ただ序盤だけでも満足できる1500ページごえの作品ってのは珍しいと思う。
 上巻だけでも買う価値あり。

図書館の神様 (ちくま文庫)

図書館の神様 (ちくま文庫)

 そっと本棚に入れて、いつまでもとっておきたい作品。
 一年に一度くらい読み直してその温かな世界にふれる。
 それだけできっとその日は幸せな気分になれる。
 そういう慈しみ方ができる本。