シルバーウィークには一人さびしくTSUTAYAで映画

グラン・トリノ [DVD]

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 イーストウッドかっけぇぇぇぇぇぇ!!!
頑固で偏屈な老人を演じさせたらまず間違いなく世界一。
全身からにじみ出る男の迫力。背中で語る生き様。あの素晴らしすぎるガレージにあこがれない男はそうそういないだろう。
映画的には非常に素晴らしい作品だと思う。シンプルだけど完成度が高く、隙がないからストレートに惹きこまれてしまう。もはやイーストウッドの監督としての構成力はある種の芸術さえ感じられるレベルに達していることを確認できる。
 ただ映画の結末には少々の不満。力の論理というアメリカ型の信念を信じて生きてきた偏屈な老人が、徐々に変わっていき最後に己の今までの人生を克えた生きざまを見せる…はずなのだが、どうもあのラストでは結局アメリカ型力の論理から抜け切れていない気がする。「ミリオンダラベイビー」のような強烈な社会問題提起ラストを期待していただけに、若干の期待外れだった。
 まぁイーストウッドの格好よさを堪能するだけでも十二分に楽しめる映画。ダーティーハリーよりも数十倍格好いい男の姿が見たい方は是非。

許されざる者 [Blu-ray]

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 昔BSでやっていたのを流し見ている気もするが、ちゃんと見たのは今回が初めて。
 レオーネにささげた最後のウェスタン。ウェスタンの総括ではあるが、超越ではない。あくまでも正統派ウェスタン映画として見るべき。
 ただモーガン・フリーマンは出すべきではなかった。いくら神話的な幻想といえど、正統派ウェスタンを作るつもりなら黒人のカウボーイというのはありえない。もしウェスタンを超克したかったならもっとタイトル通り救いようがない話にするべきであったと思う。
 まぁこれもまたイーストウッドの男ぶりを堪能できるという点だけを目的に見ても十分釣りがくる映画だけど。

 さて今回の本番。アメリカ映画界の素晴らしさがこれ以上はないくらい伝えてる素晴らしい超B級作品。
馬鹿も徹底すれば天才になる…ような気がするように、おふざけも徹底してやれば芸術を超えることができるのである。
冒頭から爆笑の嵐に巻き込まれるB級的ネタの数々、小学生レベルの下ネタ、お約束の本人役で出演する世界的トップスケーター達等々
笑いのつぼはまさに星の数ほど配置されているが、個人的に映画のなかで一番好きだったネタが、とちくるった主人公達のフィギュアスケート姿をクールとしかいいようがない形容詞でほめたたえる解説者。
「氷上のセックスマシーンですね!!」
クジャクの踊り!!革新的でありながら情感にあふれています!!」
「薬を吐き出す演出も素晴らしかったですね!」
 いちいちつぼにはいって腹筋ちぎられるかと思った。
 
 まず間違いなく世界フィギュア協会からは公認がもらえない素晴らしい作品。笑いに飢えてる人は是非。これでレンタル料390円は確実に安い。